- 当院の胎児ドックについて
- 出生前診断の種類とメリット・デメリット
- 初期精密超音波検査
- コンバインド(オスカー)検査、
コンバインドPlus検査 - 妊娠高血圧腎症スクリーニング検査
- 妊娠中期・後期胎児スクリーニング検査
- 受診方法と受診費用
当院の胎児ドックについて
赤ちゃんがお母さんのお腹の中にいる間に、生まれつきの病気(先天性疾患)があるかどうかを調べる検査のことを 「出生前検査」 といいます。
出生前検査とは、いわゆる、「赤ちゃんの人間ドック」とも言える検査で、それゆえ「胎児ドック」と呼ばれます。人間ドックでも、皆様がどの項目、検査をお受けになるか選べるように、胎児ドックにもいくつかの種類があり、検査により評価できる内容が異なります。
例えば、超音波検査は、通常の妊婦健診でも毎回拝見してまいります。通常の妊婦健診の超音波と精密超音波では何が違うかというと、見ている内容です。通常の妊婦健診では、赤ちゃんの大きさは順調に大きくなっているか、元気かどうか、という「健康診断」を行っています。健康診断で人間ドックは行わないように、毎回の妊婦健診では精密超音波は行いません。そのため、先天性疾患などの赤ちゃんの状態をより詳しく知りたい方は、「胎児ドック」 などの出生前検査をお受けいただく必要があります。
胎児ドックは、お一人お一人目的が異なると思います。私達は、皆様の目的に寄り添えるようしていきたいと思っております。いままで、私達が拝見していくなかで、「あらかじめ赤ちゃんの病気を知ることができたので、どのように赤ちゃんを迎え入れるか考え、入念な準備をすることもできました。」「生まれる前に胎児治療を行うことができる病気だったので、知ることができて良かったです。」とおっしゃっていただけたこともありましたし、赤ちゃんを迎え入れるための適切な分娩施設をご案内することで、安全なご出産につなげることができます。
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- 初期精密超音波検査
- コンバインド(オスカー)検査・コンバインドPlus検査
- 妊娠高血圧腎症スクリーニング検査
- 妊娠中期・後期胎児スクリーニング検査
- NIPT(2025年秋ごろの開始予定)
出生前診断の種類と
メリット・デメリット
出生前検査は、多くの場合、まずお体に比較的負担の少ないスクリーニング(ふるい分ける)検査(非確定検査)をお受けいただき、陽性だった場合に確定診断を得るためには確定検査をお受けいただく必要があります。
どうして、はじめから確定検査を行わないのか、不思議に思われますよね。
実は、確定検査は、羊水や胎盤などの赤ちゃんの一部を実際に採取して検査をしなければならないので、確率は低いですが感染症や破水、出血等の流産のリスクがあります。そのため、こういった検査は皆さんに最初のステップとして受けていただくというのではなく、超音波や採血など、比較的お体に負担の少ないスクリーニング検査(非確定検査;これだけでは確定診断できない検査)を受けていただき、その結果必要であると判断された場合に確定検査をご案内しております。
一点だけご理解いただきたいのは、こちらの検査をすべてお受けいただいたとしても、すべての赤ちゃんの疾患や染色体異常が分かるわけではないということです。現在、日本で認可されている染色体検査は、13,18,21トリソミーに関するものです。これは、赤ちゃんの染色体異常のうち約70%を占めるものです。
超音波に関しては、初期精密超音波では、わずか7cm前後の赤ちゃんの細部を丁寧に見てまいります。20,30週のスクリーニングに関しても、細かいチェック事項を一つ一つ拝見してまいります。ただ、大人でも、超音波検査ですべてが分かるわけではないように、ましてや小さな赤ちゃんで、何もかもが分かるわけではありません。
それでも、できるだけ安心してご出産に向かっていただけるように、力を尽くしてまいります。
胎児ドック
(スクリーニングとしての最初のステップの検査(非確定検査))
非確定検査は、大まかに2種類(①②)の方法があり、その2種類を組み合わせた③と合わせて3種類の選択肢があります。
この検査では、確定診断はできませんが、検査による流産などのリスクや赤ちゃんへの影響はありません。
① 胎児の形態や構造に関する検査・・・
超音波検査など
超音波などの画像検査により、お腹の赤ちゃん、胎盤、臍帯などの全身のチェック項目を観察します。 超音波では染色体を見ることはできません。
しかし、赤ちゃんの疾患や奇形の確率は3-5%といわれており、染色体疾患がなくても起こるといわれているので、超音波による検査は非常に大切ですし、医師の技術により精度は大きく変わります。
また、週数によって見えやすさ、見える範囲が異なるので、一度検査を受けて異常がなくても妊娠中は何回もチェックする必要があります。
(初期精密超音波検査はご希望の方に行いますが、当院は非常に力を入れております。20週・30週のスクリーニング超音波検査は当院か分娩先で必ずお受けになることをおすすめします。)
② 染色体に関する検査・・・
NIPT(新型出生前検査)※準備中です。
NIPTは、母体の血液を使用して胎児の染色体疾患の可能性(13,18,21トリソミー)に関する検査を行います。 超音波では見ることのできない染色体に関する評価をすることができます。
当院は、現在認証施設申請準備中です。2025年秋ごろの開始を目指しております。
(認証施設は、一定の基準を満たして、NIPTを実施する施設として認証された医療機関と検査分析機関のことを言います。日本医学会の中に作られた出生前検査認証制度等運営委員会が認証しています。)
③ 超音波検査と染色体に関する検査をあわせた検査・・・コンバインド(オスカー)検査/コンバインドPlus検査
超音波検査と母体血液の検査の結果を組み合わせて、染色体疾患の可能性を評価する検査です。
様々な結果を組み合わせて多角的に評価をできるのがこの組み合わせ検査のメリットです。こちらのコンバインド検査、コンバインドPlus検査は、実施認定施設のみでの実施が許可されています。
この検査に含まれるNT(赤ちゃんの首のむくみ)は、実は正確な測定は非常に難しく、細かい規定があります。
そのため、イギリスのFetal Medicine Foundationのライセンスを取得した、正確な計測をできる医師のみがコンバインド検査、コンバインドPlus検査を行うことができます。
スクリーニング検査で陽性となった場合の確定診断が目的の検査(確定検査)
スクリーニング検査で陽性となった場合、確定診断をご希望された場合は染色体疾患に関して確定検査が必要となります。赤ちゃんに関する確定検査なので、赤ちゃんの一部を採取する必要があります。具体的には、絨毛(胎盤の一部)検査、羊水検査です。確かに感染や出血、流産などのリスクがないとは言えませんが、確率は低いので、どうかあまりご不安にならないでください。
当院で行っている
出生前検査一覧
※NIPTは秋頃の開始を目指して、現在準備中です。現在は、初期精密超音波やコンバインド検査など、その他の出生前検査に対応しております。
認証連携施設には、臨床遺伝専門医または出生前検査に関する研修を修了している産婦人科医師が在籍していなければなりません。
安心して検査をお受けいただくため、2025年秋ごろの開始を目指して誠心誠意準備を重ねておりますので、今しばらくお待ちいただけますようお願いいたします。
※1 21トリソミーに関する報告
※2 当院で妊婦健診を受けている方
- 血液検査②③は血清マーカー、④⑤は母体血中の胎児DNA断片をみています
- 染色体評価は13,18,21トリソミーに関してです
- 妊娠高血圧腎症スクリーニングはいずれの検査にも組み合わせて行うことができます
何の検査を受ければよいか
分からない方へ
赤ちゃんの体の作りに異常がないか知りたい
①初期精密超音波をお受けください
染色体疾患(13,18,21トリソミー)の可能性が知りたい
②コンバインド(オスカー)検査をお受けください
染色体疾患(13,18,21トリソミー)も赤ちゃんの体の作りの異常がないかも、分かる範囲のことはすべて知りたい
③コンバインドPlus検査をお受けください
- 検査結果がハイリスクや陽性の場合、診断確定を行うためには羊水検査が必要です。
初期精密超音波検査について(12週0日〜13週5日)
妊娠初期(12週〜13週)に赤ちゃんに大きな形態異常がないか、染色体疾患の赤ちゃんにみられる特徴がないかを詳しく調べ、当日に結果を説明いたします。赤ちゃんお一人一人を超音波で評価できる、胎児ドックの基本となる大切な検査です。
当院は、イギリスに本部を置く英国FMF(Fetal Medicine Foundation)認定の胎児エコーライセンスを取得した医師が検査を行っております。
この英国FMFは1990年に設立され、現在までに世界中の非常に多くの胎児の観察研究を行っており、その中で染色体疾患を疑う所見として非常に重要な項目(NT(赤ちゃんの首のむくみ)三尖弁(心臓の中の弁)の逆流)、静脈管(胎盤からの血液を下大静脈に送り込む血管)の逆流、鼻骨の有無)を見つけ、一つ一つにライセンスをつけております。
なぜかと申しますと、12週前後の赤ちゃんは約7cm前後と大変小さく、しっかりと観察の条件を理解し測定できる技術がなければ、正確な評価ができないからです。
例えば、「いちごの断面の白い部分の距離を測る」時に、「いちごの先とヘタの真ん中の部分が写っている断面で計測をする」などと決めておかないと、検査として正確に比較ができません。どのように切れていてもいいので白い部分を計測するとなると、斜めだったり端であったりすることで、本来より大きく・小さく評価してしまうので、正確な評価ができません。
胎児ドックの場合は、0.1mmでも計測が異なると得られる結果が変わることもあるので、いかに正確な評価が重要かご理解いただけると思います。
また、初期精密超音波のみ受けることもできますが、お母さんの採血も加えたコンバインド検査やNIPTを組み合わせることで、超音波だけでは評価ができない染色体疾患の評価も可能になりますので、より得られる情報量が多くなりますのでおすすめしております。
※赤ちゃんの向きによっては超音波評価が正確に行えない場合もあるため、時間をあけて何回か診察が必要となる可能性や、再度別日に予約を取り直し検査を行う必要がある場合があります。検査をお受けいただく以上、できるかぎり正確な評価を行えるよう努めたいと思っております。そのため、ご不便をおかけすることもあるかと存じますが、何卒ご理解を賜りますようお願いいたします。
どうして検査の時期が重要かに関して
妊娠11週を過ぎると、赤ちゃんの臓器の大半がすでに作られています。また、「首の後ろのむくみ」であるNTは多かれ少なかれすべての赤ちゃんにみられる所見であり、その後、赤ちゃんの首のむくみは成長とともに消えていきます。
そのため、短い時期でしかNTを正確に評価することができず、当院では妊娠12週から13週で精密超音波検査を行っています。
NTが厚い場合は染色体疾患(ダウン症候群など)や心臓・リンパ系の還流異常などの可能性が疑われますが、「NTが厚い」=「赤ちゃんに問題がある」とは限りません。実際に、NTが厚い場合でも病気のない赤ちゃんはたくさん生まれてきます。
NTが病的なものによるかどうかの判断は、赤ちゃんの全身を評価しないと分からないため、赤ちゃんの状態を正確に評価できる精密超音波検査がとても重要です。また、妊娠高血圧腎症スクリーニング検査もこの時期に行われます。
コンバインド検査、コンバインドPlus検査について
(12週0日〜13週5日)
※コンバインド検査、コンバインドPlus検査は妊娠13週5日までのご受診をお願いいたします。
妊娠14週に近くなると、赤ちゃんのサイズが大きく検査評価対象外となることがあるためです。
胎児超音波で「NT(赤ちゃんの首のむくみ)」、お母さんの血液検査で「母体血清マーカー(PAPP-AとfreeβhCG)」等を組み合わせることにより、染色体疾患(13,18,21トリソミー)の可能性を評価する検査です。いくつかの検査を組み合わせる(コンバインド)ため、コンバインド検査とも呼ばれるもので、世界では最もよく行われている検査のひとつです。超音波のみの検査と比較して、染色体疾患の評価が可能になるため、様々な角度から赤ちゃんの先天性疾患の評価が可能です。FMFコンバインド検査は陰性的中率(NPV)が99%以上、つまり検査結果が「陰性」の場合は3つのトリソミーに関しては陰性(13,18,21トリソミーではない)の可能性が非常に高いといえます。
この検査は、赤ちゃんの全身を評価する初期精密超音波検査を組み合わせる(コンバインドPlus検査)ことで、染色体疾患がなくても起こり得る胎児の形態的異常(奇形)などの評価が可能になり、さらに広い角度から評価することができます。
コンバインド検査は実施できる施設が限られています。この検査で必要となるNTの測定は熟練した医師でも正確に評価することが非常に難しく(初期精密超音波の説明をご参照ください)、実施できる施設が限られています。英国FMF認定の胎児エコーライセンスを取得した医師による計測が推奨され、オスカー検査はこのライセンス保有者のみが行うことができ、どの施設でも可能なものではありません。当院は、英国FMF認定のNT資格の保有者が検査を担当いたします。
コンバインド(オスカー)検査の詳細はこちらからご確認頂けます。
※赤ちゃんの向きによっては超音波評価が正確に行えない場合もあるため、時間をあけて何回か診察が必要となる可能性や、再度別日に予約を取り直し検査を行う必要がある場合があります。検査をお受けいただく以上、できるかぎり正確な評価を行えるよう努めたいと思っております。そのため、ご不便をおかけすることもあるかと存じますが、何卒ご理解を賜りますようお願いいたします。
妊娠高血圧腎症スクリーニング検査(11週0日〜13週6日)
こちらは、母体の合併症リスクの検査です。
妊娠中の検査、特に初期の検査には、胎児の検査は多くありますが、母体の疾患リスクに関する検査はほとんどありません。この検査で評価できる妊娠高血圧腎症は、発症した場合、母体・胎児ともに非常にリスクが高く、一方で発症リスクが高い方に内服治療を行った場合約9割が予防可能といわれております。
現在、ご妊娠年齢の上昇により、妊娠高血圧腎症の発症率は上昇しております。妊娠高血圧腎症は、妊婦さんの20人に1人が発症する全身の血管の病気であり、そう珍しいものではありません。この疾患は、母体・胎児ともに大きな影響があります。母体ではくも膜下出血などの脳出血や痙攣発作など命に関わる状態になったり、腎機能や肝機能障害を起こすことがあります。また、赤ちゃんの発育が悪くなることや、常位胎盤早期剥離(出産前に胎盤が剥がれてしまうこと)が起こり、赤ちゃんに酸素が届かないことで、最悪の場合、赤ちゃんが亡くなってしまう可能性があります。
この検査では、お母さんの『血圧測定』、そしてお腹の超音波で『子宮動脈の血管抵抗』を計測し、妊娠後期に妊娠高血圧腎症が発症する可能性を評価します。お母さんの血圧測定とお腹の超音波で検査が可能なので、お母さん、赤ちゃんともに検査による流産等のリスクがありません。妊娠11週0日〜妊娠13週6日であれば、受けることができます。発症リスクが高いと分かった場合、妊娠16週より前からアスピリンの内服を始めると、発症を約9割予防できることがわかっています。
この検査を行うためには、英国FMF認定の胎児エコーライセンス(Certificate of competence in preeclampsia screening)が必要となり、当院では資格保有者が検査を担当いたします。
妊娠中期・後期
胎児スクリーニング検査
妊娠20週前後と妊娠30週前後に受けることができる検査です。
産婦人科専門医による精密検査で、通常の妊婦健診では評価を行えない細かい部分(胎児、胎盤、臍帯、羊水、胎児血流、母体血流)まで検査いたします。
通常の妊婦健診は、赤ちゃんの健康状態を確認するものですが、奇形を含めたさまざまな病気を詳しく調べることを目的としているわけではないため、生まれてくる赤ちゃんの安心・安全のためにも中期・後期胎児スクリーニング検査を受けることをおすすめしています。
妊娠中期(16週)以降は、赤ちゃんの臓器、例えば脳や心臓、消化器などが次第に発育する時期です。妊娠初期と比べて、胎児の個々の臓器の構造をさらに詳細に観察できるようになります。後期にならないと症状が出にくく発見しにくい病気もあり、妊娠初期、中期、後期と段階的に評価することが必要です。そのため、妊娠初期の胎児ドックで問題がない場合でも、胎児スクリーニング検査を受けることがすすめられます。
受診方法と受診費用について
検査をご希望の方は
予めご予約をお願いします
検査は全て予約制となっておりますので、ご利用を希望される方は、必ず事前にホームページからご予約ください。
初期精密超音波
項目 | 費用(診察料込・税抜) |
---|---|
初期精密超音波 | 42,000円 (妊婦健診をどこで受けているのかに関わらず) |
消費税を含めたお支払額
- 初診再診問わず【46,200円】
コンバインド検査
項目 | 費用(診察料込・税抜) |
---|---|
コンバインド検査 | 47,000円 当院で妊婦健診を受けている方44,000円 |
消費税を含めたお支払額
初診再診問わず
- 他院で妊婦健診を受けている方【51,700円】
- 当院で妊婦健診を受けている方【48,400円】
コンバインドPlus検査
項目 | 費用(診察料込・税抜) |
---|---|
コンバインドPlus検査 | 72,000円 当院で妊婦健診を受けている方69,000円 |
消費税を含めたお支払額
初診再診問わず
- 他院で妊婦健診を受けている方【79,200円】
- 当院で妊婦健診を受けている方【75,900円】
妊娠高血圧腎症スクリーニング
項目 | 費用(診察料込・税抜) |
---|---|
妊娠高血圧腎症 スクリーニング検査 |
22,000円 当院で妊婦健診を受けている方17,000円 |
消費税を含めたお支払額
初診再診問わず
- 他院で妊婦健診を受けている方【24,200円】
- 当院で妊婦健診を受けている方【18,700円】
妊娠中期・後期胎児スクリーニング検査
項目 | 費用(診察料込・税抜) |
---|---|
妊娠中期・後期胎児 ※赤ちゃんの状態をしっかり確認するため、 |
35,000円 ※赤ちゃんの向きによって観察しにくい場合の別日の再検査料は5,000円(診察料込・税抜)かかります |
消費税を含めたお支払額
初診再診問わず
- 他院で妊婦健診を受けている方【38,500円】
- 当院で妊婦健診を受けている方【27,500円】
- 別日の再検査料【5,500円】